新型コロナウィルスの影響により桜祭りが中止となり、家の中で過ごす時間がますます増える中、閉塞感を打破するためにせめてもの楽しみとして、家の中でインドア花見を行うという人も少なくないのではないでしょうか。
そんな人におすすめなのが、津軽名物「津軽当物駄菓子」。津軽一円に伝わる昔ながらの駄菓子です。
◯津軽当物駄菓子・いも当て、大王当て
正月やお盆など大勢人が集まった時の盛り上げ役として、昔から津軽の人にとって欠かせないのが「津軽当物駄菓子」であるいも当てや大王当て。
この当物駄菓子について説明すると、それらは当物(あてもの)という当たりのついた駄菓子で、板紙に張り付けた「くじ」を引き、「親」と書かれたくじを引くと大きなものが、「子」と書かれたくじを引くと小さな物が当たる、と言った駄菓子です。

駄菓子屋が多く存在した時期には、子供たちがお金を握り締め、1回10円等と設定されたくじを引き、当たりを狙って一喜一憂していました。
しかしながら、駄菓子屋の減少により、今では正月やお盆に子供たちを和ませる手法として一般店舗にて購入する形に変化し、家族や親戚内で楽しむものと変化していきました。
さらに、近年では昔を懐かしむ30代から60代の方々による「大人買い」が非常に多いそうです。 昔、あの駄菓子屋で買った懐かしい当物を思う存分行うという人も少なくないと思います。
◯いも当て
いも当てをわかりやすくご紹介すると、「あんドーナツ」を「焼き芋」に似せて作った和菓子です。

「親」が当たると、「いも菓子」を半分にして、中の黄色あんが見えるようになった大きなものが当たります。「子」だと小さな物を半分にしたものが当たるという仕組みです。

ドーナツ部分の食感に香ばしさ、さらにアンの甘さがマッチする美味しい駄菓子。一口食べると止まらなくなる食べやすさが特徴的です。
折角なので実際にやって見ました。閻魔大王が描かれた厚紙に付いているベージュ色の紙をペロッと捲ると…

「親」か「子」が印字されています。ちなみにめくる事で現れる謎の文字の羅列は透かし防止のために印字されているそうです。子供の頃は何か意味のある文字列なんだろうなと思っていましたが、特に意味のある文字列ではないんですね。
さて、「子」が当たったので小さいものを頂きます。

こうして、「子」が当たると「親」も当てたくなるのが人情。という事で親が出るまで引いて食べてを繰り返す所存です。
と、思いきや

長い戦いになるやもと気構えていましたが、すぐに「親」を引き当てることに。ただ、大きさが変わるだけですが、それでもなんだか幸せな気持ちになるのがこの当物の不思議なところ。

このいも当てはいまでも小麦、テンサイ糖やつなぎのデンプンいった主要のものは国産材料を使い、職人が全て手づくりしています。厳選素材で手作り、駄菓子と言えどその中身は「高級菓子」に負けていません。
ちなみに、この「いも当て」には「親」が6ケ、「子」が20ケ入っています。よって、「親」を当てる確率は3/13。当たるようで当たらなそうな確率です。
この「いも当て」は弘前市にある佐藤製菓が初めて作りました。もともと弘前一円の地域には大王や糸引きなどの当物駄菓子の文化があり、その中であんドーナツをいもに見立て、板くじを使った駄菓子が作られました。そうして、このおいしさもあり、津軽一円に広まっていったのだそうです。
一昔前までは当物駄菓子を作っている製菓会社は多数ありました。しかしながら、時代の流れにより、弘前市の佐藤製菓さんのみが当物駄菓子を作っているそうです。
◯大王当て
当物和菓子として、忘れてはいけないのが「大王当て」。大王当ては、白あんを食紅などで染めた上、型で抜いた雲平のような菓子になります。こちらも弘前にしかない当物駄菓子です。
「大王当て」には「いも当て」と異なり「親」と「子」のほかに、一番の大当たりとして「大王」があります。


「いも当て」と異なり3種類に分かれているためか、「大王」が当たった時の一喜一憂が一際大きくなります。ちなみに個数の内訳は「大王」2ケ、「親」5ケ、「子」19ケです。
「大王」と「子」を比べて見るとその大きさは歴然。


大王が当たった時の嬉しさと、口一杯に広がる白餡の仄かな甘みは、昔ながらの思い出の美味しさで病みつきになります。
◯大人も童心に帰って一喜一憂
当物駄菓子の一番の特徴は、子供だけでなく大人もだんだん熱が入って盛り上がるところ。子供達に昔ながらの津軽の庶民文化を伝えながら、是非家族で楽しい時間を演出してはいかがでしょう。
現在、新青森駅などのお土産店のほか、「まごころふるさと便」にて通信販売を行っています。また、新型コロナウィルスに伴う昨今の状況を踏まえて、 Facebookページにおいても特別なセット通販の紹介などを行っていますので、是非ご確認ください。また、佐藤製菓でも直接販売しているそうです。
byひらぱー
佐藤製菓 | |
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場所 | 弘前市大字津賀野字宮崎68 |
TEL | 0172-34-3356 |
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