青森市の人気店「グートロン」さんは創業70年!創業者の佐藤与五郎さんは和菓子職人で、もともとは洋菓子ではなく、和菓子店だったそうです。その後、二代目の誠悦(せいえつ)さんがドイツ洋菓子店として継承なさり、息子の誠之(まさゆき)さんがリヨンとパリでの修行経験を活かし、フランスのエスプリを華やかに添えて。親子三代で進化し続けている、実に魅力的なお店です。誠之さんのお母さん、千代子さんの優しい笑顔も和やかで、アットホームな雰囲気です。
今回は、「取材は苦手」とはにかむ三代目シェフパティシエに、お構いなしのバムセが体当たりインタビュー。シャイな誠之さんから聞き出すことのできた、興味深いお話をあれこれお届けいたします。
お父さんと共にお店を盛り立てる三代目、佐藤誠之シェフパティシエ
○いつ頃からパティシエへの道を進もうと思っていましたか?
もう、物心ついた頃から、なんとなくそう思っていました。両親に洗脳されて(笑)
○なぜお父さんと同じドイツ菓子ではなく、フランス菓子を選んだのですか?
最初の修行先が、東京のレ・アントルメ国立というフランス菓子店だったんです。また、若い頃からスイーツガーデン ユウジアジキのファンでした。
○フランスでの修行先は?
2005年にフランスに渡りましたが、事前に修行先を決めていませんでした。数ヶ月見て回った後、リヨンのセバスチャン・ブイエの扉を叩いて、何のツテもないのに働かせて欲しいと頼み、翌朝から。3年間そこで修行した後、本当は南仏へ行きたかったのですが、遠すぎたのでパリにしました。ラデュレへ行き、また同じように働かせて欲しいと自分で飛び込んで。「明日の朝来い」と言われ、翌朝から働いていました(笑)
ラデュレ最後の日、仲間たちとお店の前で(2010年)
○フランス語は渡仏前から話すことができたのですか?
いいえ、全く(笑)。リヨンのセバスチャン・ブイエへ頼みに行った時も「ジュブドレトラバイエシェブ(あなたのお店で働きたいのですが)」というフレーズだけ覚えて(笑)
○厨房で、フランス語がわからず困ったり、いじめられたりしませんでしたか?
いじめられましたね〜(笑)「フランス語ができないヤツはゴミ以下!」と言われましたよ。でも、厨房で困ることはありませんでした。作業手順は知っていたので、言葉ができなくても分かり合えました。
一瞬マスクを外して頂きました
○パリではどんな暮らしをしていましたか?
3交代制の夜勤を選んで働いていました。18区のアパルトマンで、いろいろ不便でしたが、またそこがいいというか。近くの安いブラッスリーに通って食べていました。
○フランスで食べたもので印象的だったのは?
仔羊と舌ビラメのムニエル!ワインはサンテミリオンが美味しかった。
○暮らして気づいたフランスの良い点と悪い点を教えてください。
良い点は、常に効率的に働き、時間の使い方がうまいところですね。仕事とプライベートの区別がはっきりしていて、バカンスのために働くって感じ。フランス人は、時間が空くと、公園を散歩したり、ピクニックをしたりするので驚きました。悪い点はあえて言えば、ストが多いところかな(笑)
○フランスが嫌になり、日本へ帰りたいとは思いませんでしたか?
全然思わなかったですね。はっきりとしたフランス人の気質が性に合っていたし、フランスが大好きで、もうずっと居たかったです。でも30歳になり、グートロンのこともあり、青森へ戻って来ました。
○趣味は?
サーフィンです!冬でも六ヶ所や鯵ヶ沢の海岸へ行っていますよ。
○誠之さんにとってお父様は?
ライバルですね。毎日のように喧嘩しています(笑)
○どんな夢をお持ちですか?
自分の代になったら、店を大きくして、食べられるスペースを作りたいですね。それから、もう一度フランスへ行き、あちこち巡ったり、ビアリッツでまたサーフィンしたいです!
○日頃心がけていることはありますか?
「悩みにぶち当たることがあっても、自分に負けない!」ですかね(笑)
○最後に、まるごと青森読者のみなさんへメッセージをどうぞ
バレンタインデーが近づいております。チョコレート、マカロンなど豊富に取り揃えてお待ちしていますので、よろしくお願いします!
手作りケーキ洋菓子専門店
(有)グートロンふじや
青森市古川2丁目11の9
TEL 017−776−5934
9:00-19:00
インタビューを終えて
フランスでの修行先が、日本でも名高いあのセバスチャン・ブイエやラデュレだったので驚きました。翌朝からすぐ来いと言われて、どちらの名店でも働き出してすぐに認められたのですから、腕は確か!本当に凄いです。誰からの助けもなく、言葉が分からなくても自分から飛び込んだと聞き、さらにびっくり。シャイなようで根性がありますねぇ。剣道をやっていらっしゃったそうなので、揺るぎない武道の精神がそうさせるのかしらと思ってみたり。ところで、誠之さんは波乗り好きながらネットサーフィンは苦手だそうで、今のところはネット上でお店の宣伝をほとんど発信なさっていないようです。それでもなおあの人気ぶり!と感心してしまいます。
さて、スイーツ大好きなバムセは、インタビューの後もちろんいくつか買って、お家で楽しみましたよ。
まずはサバラン。スポイトにラム酒。プチュっと生地に注入して、ひたひたに染み込ませ、スプーンですくって頂きました。本格的なサバランです。
ショコラモンブラン。濃厚な栗とチョコレートの融合。たまらぬ美味しさ!
各種マカロン。普段は14種類もあるそうです。これら7種類、全部味見をしましたが、個人的ナンバーワンはごま!
そしてこちらは、誠之さんがお土産にくださったテリーヌショコラ!アドバイス通り、胡椒をかけて食べてみました。濃厚でしっとりとしたチョコレートにスパイスが効いてうまっ!チョコレート好きにはたまりません。プレゼントにもいいですね。
次回はアップルパイやマロンパイ、そして人気過ぎてこの日すでに売り切れだったクロワッサンを試してみたいです。
誠悦(せいえつ)さん考案のゴルゴンザロール(ゴルゴンゾーラ・バタークリーム・胡桃・パセリ)も気になります。じゅる。みなさんもぜひ、親子三代進化し続ける洋菓子店グートロンふじやさんをご体験くださいね。
By バムセ
グートロンふじや | |
---|---|
場所 | 青森市古川2丁目11ー9 |
TEL | 017−776−5934 |
FAX | 017-722-1246 |
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。