デジタル全盛期。なにかと簡単で便利な世の中になりましたね。ところが意外なことに、欧米ばかりでなく日本でも、2014年頃からじわじわと、手間暇のかかるアナログレコードの人気が高まっていることをご存知でしたか?
もとより私は、時折ジャケットを手に取り、レコードにそっと針をのせてチリチリという雑音を愛しみながら、臨場感あふれる音を楽しむのが好きな世代のひとり。アナログレコードのブーム到来に、急に自分が「単なる物好き」から「流行の先端を行く人」になったような気がして、いささか戸惑っております。
この人気再燃の証を、ちょっと数字で見てみましょう。日本レコード協会の統計によると、2014年の新譜レコード生産数が40万1000枚、以降2019年まで年々上昇し続け、昨年には109万5000枚に達しています。また、興味深いことに、昨年その内訳が邦楽61%、洋楽39%となり、邦楽生産数が洋楽を上回りました。過去のタイトル復刻版や、日本の若手ミュージシャンたちのレコードによる新譜リリースがその要因のようです。
こうして書いているうちに、いろいろな声が聞こえて来ました。「そりゃレコードを聴いてみたいけれど、何をどう揃えればいいの?」「大切にしまっていたコレクションを久しぶりに聴こう。でも、まずはレコード針を取り換えなくちゃ。」「中古レコードを安く手にいれたいな。」「デッキの調子が悪いから、専門家に相談したいんだけど。」
ご安心ください!青森市には、それら全てに応えてくれるオーディオ専門店があるのです。そのお店の名前はオーディオパル シラトリ。オーナーの白鳥哲夫さんはとても気さくで、親切に相談に乗ってくださいます。白鳥哲夫さん、絵理子さんご夫妻
東京のオーディオメーカーにお勤めだった白鳥さんは、50歳を迎えた2006年に思い切って脱サラをし、故郷の青森市へ戻ってオーディオパル シラトリを開きました。最初の2、3ヶ月はお客さんが全く来なかったそうです。それでもめげることなく前向きに頑張っていた結果、少しずつ口づてに評判が広まって行ったそうです。今や、知る人ぞ知るオーディオの聖地。新品・中古品が揃い、修理まで扱うような専門店は県内に数件だけですから、とても貴重な存在だと思います。
現在の客層は、50代〜70代の男性が9割だそうです。音楽へのこだわりを、奥さんに理解してもらえないと嘆く人が多いと聞き、思わず笑ってしまいました。
こちらは白鳥さんのアトリエ。修理依頼でよくあるのは「CDプレーヤーのトレイが開かない・音が飛ぶ」「アンプにノイズが入る」「レコードプレーヤーが回らない・針が折れた」などだそうです。
白鳥さんの手に負えない場合や、部品を取り寄せる必要があるような際には、メーカーへ修理を取り次いで頂くことも可能です。
真空管アンプの状態を確認する白鳥さん
アトリエの横には、ギターがずらり。白鳥さんが趣味で集めているものだそうです。
そして、こちらからは中古商品販売コーナー。
おっ!ここにもギターが。このギブソンは超お買い得だそうです。
他にも様々なお宝が眠っているので、じっくり見に行く価値がありますよ。
中古レコード(クラシック)もわんさかあります。なんと、1枚300円!他に、無料コーナーもありました。
ところで、こちらはいったいなんでしょう?
なんと、レコード盤の反り修正機なのです。「レコード用のズボンプレッサーの様なものですよ。」と笑う白鳥さん。反ってしまったレコードを入れて2時間温め、2時間冷やし、合計4時間もかけて直すそうです。でも、その手数料は1枚たったの500円。この日は、今別市のお客様からのご依頼で「シルクロード組曲」2枚組の反り直しをなさっていました。
反ってしまったレコードをお持ちの方、試してみては?ただし、特殊な材質のレコードや、熱によって変形してしまったもの、歪みが局所的なものなど、修正のできないレコードもあるそうです。詳細については、どうぞお店にお問い合わせください。
近年のアナログレコード人気を喜んでいらっしゃる白鳥さんに、レコード入門者はどのようなオーディオを選ぶべきか、プロの意見を聞いてみました。プレーヤーは、安いものは有名メーカーの新品でも1万円ちょっとで購入できるのだとか。でも、もしもいい音で音楽を聴くことを望むのであれば、ある程度品質の良いプレーヤー、アンプ、スピーカー2台を、それなりの金額を出して揃えることが大切とのことでした。その選択は、ご予算やご希望に応じて相談に乗ってくださるそうです。
さて、取材の最後に、ご夫妻に好きなアーチストのベスト5を伺いました。奥様の絵理子さんは、竹内まりや、ドリカム、ユーミン、ミーシャ、AI(あい)だそうで、イメージにぴったり。白鳥さんはジャズ派で、お店にあったCDを5枚選んでくださいました。
おまけに、私が自分のレコードコレクションから選んだアルバムベスト5もご紹介させて頂きますね。5枚のジャケットの一部ずつを組み合わせてみました。みなさん、誰のどのアルバムかお分かりですか?
向かって左より、「麗しのベラ・ドンナ」(スティーヴィ・ニックス)、「プライベート・ダンサー」(ティナ・ターナー)、「トゥルー・ブルー」(マドンナ)、“You Want It You Got It”(ブライアン・アダムス)、「ライブ・イン・ジャパン」(ディープ・パープル) あぁ・・・ふるっ!
ついでに、5歳年上の夫がコレクションの中から選んだベスト5も、どうぞご覧ください。
向かって左より、「原子心母」(ピンク・フロイド)、「フルハウス」(Jガイルズ・バンド)、「フィジカル・グラフィティ」(レッド・ツェッペリン)、「ディープ・パープル・イン・ロック」(ディープ・パープル)、「レプレッション」(トラスト)
さぁ、みなさんもデジタル時代をあえて逆流し、アナログレコードで臨場感あふれる音をゆったりと楽しんでみませんか?
By バムセ
Audio Pal Shiratori(オーディオパル シラトリ) | |
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場所 | 青森市港町3丁目10-42 |
TEL | 017-742-7838(ご来店時はお電話ください) |
Webサイト | https://www.audiopal-shiratori.com/ |
その他 | 営業時間10:00-18:00 定休日火曜・水曜 |
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。