蒸し暑い毎日が続いていますね。みなさん、「夏の風物詩」で思いつくものはなんですか?私は「風鈴」「うなぎ」「夕立」「冷やし中華」そしてやっぱり「妖怪」でしょう!
「妖怪」といえば、以前から下川原焼土人形「妖怪シリーズ」が気になって仕方がありませんでした。七代目 高谷智二さんが、代々伝わる型を使って現代に蘇らせた、彩色豊かで愛らしい土人形の妖怪たちなのです。
そんなわけで、その特別な妖怪たちに会いに、弘前市の高谷下川原焼土人形製陶所へ出かけて参りました!こちらがその妖怪たちです。ね、カワイイでしょう!?見ているだけで笑みがこぼれます。
全て、背面に息を吹き込む口がついており、土笛になっています。古来より日本では、土に口をつけると虫封じになる(子供の夜泣き・かんしゃく・ひきつけなどを防ぐ)という言い伝えがあるそうですよ。
自然への恐れや説明のつかない出来事への理由付けとして生み出された妖怪。江戸後期から、日本人にとって妖怪はもはや、恐ろしい存在ではなく、愛嬌のあるものとして親しまれていたようです。妖怪は、浮世絵や芝居の題材として愛されるようになり、江戸時代に妖怪文化が花開きました。高谷下川原焼土人形の妖怪たちは、子供の玩具として大人気で、荒物屋や駄菓子屋の店先に並んでいたそうです。
ではあらためて、一体ずつご紹介させていただきましょう。色使いにとても惹かれた私は、主な彩色のパレットをAdobe Colorで作成し、写真右に添えてみました。
まずは、高谷家二代目金松(~明治32年)の型で作った6体です。
道具や野菜など、全て当時の生活に密着した妖怪ですね。七代目 高谷智二さんのお気に入りは、かぼちゃ笛と箕笛だそうです。箕(み)は、穀物をふるって殻やごみを振り分けるための農具で、子供の頃から見慣れているので愛着を感じるとのことでした。
こちらは、二代目金松の弟 亀吉による型で製作した一体です。
つづいて、初代高谷金蔵の甥 太田久太郎(明治期)の型から生まれた3体です。
久太郎は、非凡なる才能と優れた技を持ち合わせており、下川原土人形の歴史において特筆すべき人物だったそうです。私は、特に化け猫がお気に入りです。
去年までは10体だった智二さんによる「妖怪シリーズ」に、今年新たにもう一体加わりました。型は、四代目高谷徳太郎(~昭和42年)によるものだそうです。
ところで、智二さんは一日におよそ30体から40体の土人形を作るのが精いっぱいとおっしゃいます。それもそのはず、一体を作るのに10日ほどもかかってしまうのです。簡単に製造工程をご紹介しましょう。
1. 赤土と川砂を調合した粘土を型枠にはめて形を整える(押し型)
2. 乾燥させる(5~6日間)
3. 800度の窯で数時間素焼きする
4. 窯の中で冷まし、翌々日取り出す
5. 白色に塗った後、色付けする
6. 乾かして、やっとできあがり!
「妖怪シリーズ」の妖怪たちの値段は一体2,500円から2,800円(税別)です。弘前市では、高谷下川原焼土人形製陶所(詳細は下記ご覧ください)または藤田記念庭園内クラフト&和カフェ 匠館でお買い求めいただけますよ。
クラフト&和カフェ 匠館
弘前市上白銀町8−1 藤田記念庭園考古館内
9:30-16:30
TEL 0172-36-6505
(在庫に限りがありますので、あらかじめお問い合わせください。)
素朴で味わい深い伝統工芸、高谷下川原焼土人形。今回は夏ならではの「妖怪シリーズ」のみ取り上げさせていただきましたが、有名な鳩笛をはじめ、その種類は300以上も。しかもアトリエには、まだ使ったことのない型もあるそうです。もしかしたら、まだ見ぬ妖怪が眠っているかも?と思ったりして。七代目 高谷智二さんが生み出す下川原焼土人形から目が離せません!
by バムセ
高谷下川原焼土人形製陶所 | |
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場所 | 弘前市桔梗野一丁目20の8 |
TEL | 0172-32-6888 |
時間 | 日曜日 14:00-17:00 |
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。