まるごと青森

【JOMONトークVol.13】わりと、なんでも屋です(トヨカワイラスト研究室・豊川茅さん)

特産品・お土産 青森の人 | 2021-12-13 09:00

こんにちは、エムアイです!

今回はイラストレーターの豊川茅(とよかわちえ)さんにお話をうかがいました。

― 豊川さんは土偶のイラストをたくさんかいていますよね。絵だけではなく、バラエティに富んだグッズも制作しています。小さいころから土偶が好きだったんですか?

「はい。小学校1年生の夏休みの工作が板状土偶でした」

― 小1ですでに(笑)。どうしてそんなことになったのでしょう。

「両親や祖父母がよく遺跡や博物館につれていってくれたんです。当時は縄文の暮らしとかが好きだったのかな。青森の人はみんな縄文が好きなんだと思ってました(笑)」

― まさかそんな(笑)。どちらかといえば、少数派ではないかと…

「あと小さいころ、食べ物の切り抜きを集めていたんです。その流れで縄文人が食べていたものも知って、わーっ! となって(笑)」

- 感動したわけですね(笑)。

「縄文は大好きだけど、歴史に詳しいわけではないので『にわか』といわれてもしかたないです。専門家のみなさんから『邪道』とか、『にわか』め、と思われてないか、若干おびえながらやっています(笑)」

― いやいや、豊川さんの作品は専門家から見てもおもしろいと思いますよ。

「そうだといいのですが…。小牧野館で個展をやらせてもらったとき、青森市教育委員会の方に『縄文は考古学者だけのものではありません』といわれて、ああ、いい言葉だなと思って。背中を押してもらった感じがしました」

2018年に縄文の学び舎・小牧野館で開催したイラスト&インスタレーション展「NEONEO☆縄文人」。

― イラストレーターとして活動をはじめたのはいつごろですか?

「19歳のときです。Feel the Rootsという、三内丸山遺跡で行われたイベントの関係者と知り合って、ライブペイントをやらせてもらいました。そこで『そういえば縄文が好きだった』と火がついて。デザイン会社で5年くらい修行をしてから、2017年に独立しました。青森でイラストレーターとしてやっていけるとは思っていなかったので、好きな縄文をかいて仕事になっているというのは、なんだか不思議なかんじがします」

- この写真、豊川さんですよね?「いえいえ、モデルさんです(笑)。板状土偶が現代の女の子だったら!? というテーマで撮影しました。頭にはちっこい土偶風ヘアアクセサリーがついています」

― 豊川さんは土偶をどんなふうに見ていますか?

「かわいいですね。ただひたすら」

― その「かわいい」を、もうすこし具体的にいうと?

「よく出てきたなという、いとおしさがあって。長いあいだ冷たい土のなかにいたのかと思うと、泣けますね。ほんとにほんとに」

木造駅前の神武食堂のTシャツも豊川さんが手がけた。
「胸元には奥様が消しゴムはんこでつくったというご主人のお顔を入れました」と豊川さん。

― イラストやグッズを制作するうえで、心がけていることはありますか?

「世界遺産に登録されたので、いま縄文グッズをたくさんつくれば、けっこう売れると思うんです。ただ、お金稼ぎのためにつくりたいわけでも、どこでもかんでも売りたいわけでもなくて。わたしの視点で『これはいい』『かわいい』と思えるものを大事にしながら広めていきたいです」

― そういえば、このあいだクッキーつくってませんでした?

「等身大の遮光器土偶のクッキー、つくらせてもらいました(笑)」

依頼を受けてつくった、等身大の遮光器土偶クッキー。

― 豊川さんにうってつけの仕事ですね。

「おもしろい依頼を受けることが多いです。灯台に絵をかいてもらえませんかとか、着ぐるみに入ってほしいとか。おもしろがりな性格なので、なんでもやってみます。わりと、なんでも屋です」

― 新聞で見たのですが、中学生ともいっしょに活動していますよね。アドバイザー的な立場で。

「そうなんです。野辺地中学校の美術部のみなさんといろいろやらせてもらっています」

― グッズをつくったりしたようですが。

「1年目は野辺地町の土偶『縄文くらら』をフィーチャーしたキャラクターとグッズをつくりました。2年目はグッズとチラシの制作。いま3年目で、アニメをつくっています」

― 楽しそうな取組ですね。

2019年から野辺地中学校美術部の生徒とキャラクターデザインやグッズ考案などのワークショップを行っている。

「とてもアットホームな、いい雰囲気で活動しています。みんな積極的に参加してくれて、刺激になることが多いです。最初『縄文くらら』のグッズのアイディア出しをしたとき、ほんとうにいろんな提案をしてくれたんです」

― どんなアイディアがありましたか?

「持ちやすそうな『縄文くらら』のスポンジとか、『縄文くらら』のかたちをしたおもちゃ。ラーメンやケーキ、あとお菓子のパッケージや文房具もありましたね」

「生徒さんたちがかいてくれた原本は私の宝物です。これを見るとやる気が出る」と豊川さん。

「青森県の土偶って、東京で展示されるとものすごく混むんです。もうほとんど見れないくらいに」

― でも青森県では…

「余裕で見れる(笑)」

2018年、東京国立博物館で行われた縄文展にて。「すごく混んでいて、馴染みのある地元の土偶があまりにも遠くて驚きました」

「地元にいると価値がわかりにくいけど、そういう誇れるものがあるのはすごいことだと思います。中学生のみなさんにも、こんなお宝があるんだとわかってもらえたら」

― 豊川さんはもう十分すぎるくらいあれこれ取り組まれていますが、これから新たにやってみたいことがもしあれば教えてください。

「土偶をつくってみたいと思ってます」

― それはまたどうして?

「土偶をつくる苦労を知らないとなと思って。土偶のかわいさは見ればわかるけど、それは作り手の努力があってのかわいさなので、実際に自分でつくってみたいですね。『にわか』といわれないように…」

ライブペイントの作品。2021年、青森県観光物産館アスパムにて。「縄文の世界遺産登録を記念するプチイベントでかきました」

「それと、ライフワークとして『いろんなところに行って、いろんなものを見る』というのがあります。たとえば昔からある商品のパッケージとか、小さい商店でずーっと売れ残っているような古いもの。それから道の駅とか産直で売ってる手づくりの雑貨。民芸品や郷土玩具も好きです。おもしろいものがたくさんあるので、かぎりある人生で楽しみ尽くせるかどうか(笑)」

― 興味の対象が多くて忙しそうですね。

「せわしない毎日です(笑)。いろんなものをおもしろがれたらと」

― 豊川さんにはJOMONトークのバナーもつくってもらいました。まるごと青森ブログのトップページに掲載しています。

「インタビュー記事の連載ということで、土偶にマイクを持たせてみました(笑)」

― 豊川さん、今日はありがとうございました! イラストレーターとして、なんでも屋として、どこまでも走りつづけてください!

by エムアイ

 

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