ガラスペンとは、ペン先の細かい溝がインクを吸い上げる構造で、文字等を書き続けることができるペンです。
今回は、青森市の北洋硝子がつくる「津軽びいどろ」と弘前市の万年筆専門店「平山萬年堂」のコラボレーションにより、青森県が収穫量日本一を誇るりんごをモチーフにした「ちいさな林檎」ガラスペンをご紹介します。
近年、全国各地でご当地インクが発売され、「インク沼」という言葉ができるほど、流行っています。
創業大正2年、万年筆専門店の平山萬年堂でも、岩木山ブルーグレーなどのオリジナルインクを販売していますが、ガラスペンはメーカーの既製品を取り扱っており、店主の平山幸一さんは、青森ならではのガラスペンを作りたいという思いを抱いていました。今回、まるごと青森の取材がきっかけで、津軽びいどろとのつながりができ、念願の青森ならではの、書き味にもこだわったりんごのガラスペンが完成しました。
![平山萬年堂 店主 平山幸一さん](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_6459-750x501.jpg)
![平山萬年堂オリジナルインク](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/2022-03-11-11-19-16-CSmoothing3-750x498.jpg)
りんごのガラスペンは、ペン軸担当の舘山さん、ペン先担当の神さん、研磨担当の工藤さんの3名の津軽びいどろ職人により製造されています。
![左から神さん、舘山さん、工藤さん](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_6421-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
製造工程その1 ペン軸制作 舘山美沙さん
昨年、青森県の伝統工芸士の認定を受けた舘山さん。
巻き取ったガラスが硬くなってしまう前に、素早く、ペンの持ち手部分からポイントとなるりんごの先の部分までをすべて手作業で成形していく様子はまさに職人技!
今回の製造で一番難しいところは「サイズをそろえること」だそう。ハンドメイドで同じ規格にしていくのは、長年培ってきた技術力の賜物です。また、インク壷も舘山さんが製造しています。
![ガラスを成形する舘山さん](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/IMG_8719-750x563.jpg)
![色ガラスの粒で色付け](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_5587-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
![ガラスの巻き取り](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_5628-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
![余分なガラスをハサミでカット](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_5635-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
![持ち手部分を成形](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_5699-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
![りんごの先の部分を成形](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_5845-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
![ペン軸の完成](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_5851-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
製造工程その2 ペン先制作 神正人さん
2018年に青森県の伝統工芸士の認定を受けた神さんは、次代の津軽びいどろを担う職人のひとりです。
普段は、浮き球製造で培った北洋硝子の伝統技法である宙吹きという技法で、大ぶりのお皿や花瓶を作っています。
今回のりんごのガラスペンの製造では、舘山さんが製造したペン軸と金型により製造したペン先を接合するとともに、ペン先を均等に切り離す工程を担当しています。
今回の製造で一番難しいところは「中心で接合すること」と「均等にまっすぐ引っ張ること」だそう。どちらもやり直しができない一発勝負なので、作業には高い集中力が求められます。
![ペン軸を熱する神さん](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/IMG_8722-750x1000.jpg)
![持ち手とペン先を熱して](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_6031-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
![中心で接合](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_5945-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
![ペン先を熱して](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_6123-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
![まっすぐ切り離し](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_6129-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
製造工程その3 研磨 工藤一怒さん
溶解部と加工部のリーダーを兼ねる工藤さん。溶解部は、津軽びいどろの特徴である鮮やかな色ガラス製造のための原料の配合やガラスを溶かして成形できる状態にする仕事を担っており、まさにすべての製品の土台を支える縁の下の力持ちです。また、加工部は、ガラスを研磨して、最終的に製品を仕上げる役割を担っています。
りんごのガラスペンの製造でも、ペン先の研磨を担当していますが、ペン先は書き味に影響するため、繊細な仕事が求められ、特に今回は、細、中太、筆の3種類のオーダーに微妙な違いがあり、見えないペン先を指先の感覚を頼りに研磨して、仕上げていきます。
![研磨する工藤さん](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/IMG_8732-750x1000.jpg)
![指先に伝わる感覚で研磨](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_5993-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
![試し書きで書き味をチェック](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/S3_6401-DeNoiseAI-clear-750x501.jpg)
![職人の連携](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/IMG_8759-1-750x563.jpg)
![美しい仕上がり](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/IMG_8413-750x563.jpg)
せっかくなので、ペンの書き味を試してもらうため、以前に本ブログでご紹介した(むつ市出身のペン画アーティスト 川口 絵里衣 さん – まるごと青森 (marugotoaomori.jp))むつ市出身のペン画家、川口絵里衣さんに、りんごのガラスペンと平山萬年堂の青森ラメインクを使ってイラスト(モノクロの女性が持つりんごのガラスペンだけが着色されており、ペンの存在感が際立っています。)を描いていただきましたので、その様子を動画でご覧ください。
![川口さん制作のイラスト](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/4a253a2935ed3e0bbd6ecebf55985175-750x966.jpg)
![川口絵里衣さん](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/3388c42dd72460d52d115e075f906d30-750x919.jpg)
1990年、青森県むつ市出身。
アパレルファッションデザイナーを経て、
ペン画家として活動開始。
ペン・鉛筆を
主に、人物・模様・動物等を繊細に描く。
【ガラスペンの特徴】
ペン軸は、鮮やかな赤の発色の美しさとりんごをモチーフにしたかわいらしさを併せ持つデザインとなっています。
また、手になじむ凹凸のある構造でありながら、一定の位置で止まるよう、平らな面の加工を施すことにより、転がらない設計になっており、高い機能性を有しています。
![転がらない設計](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/D4_0057-750x500.jpg)
ペン先は細・中太・筆の3種類があり、筆タイプは先端部分で細字、斜め部分で太字を描けるようになっています。
是非、店頭で試し書きして、その滑らかな書き心地を体験してほしいです。
![ペン先は3種類(細・中太・筆)](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/D4_0069-750x500.jpg)
ペン軸は細と太の2種類(ペン先の3種類と合わせて、合計6種類の展開)あります。また、インク壷もレッドとクリアの2色の展開となっています。
![ペン軸は2種類(細・太)](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/D4_0011-750x500.jpg)
![インク壷は2種類(レッド・クリア)](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/D4_0012-750x500.jpg)
![インクを吸い上げるペン先](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/D4_0055-750x1125.jpg)
![「ちいさな林檎」ガラスペン、インク壷、平山萬年堂オリジナルインクのセット](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/D4_0010-750x500.jpg)
ガラスペンとインク壷は4月1日発売予定で、現段階では、北洋硝子ショールーム、平山萬年堂と青森駅ビル4Fの雑貨のセレクトショップWORK&STUDY KISUKEの店頭のみでのお取扱いとなります。なお、現在は電話で予約を受け付けしております。
![ちいさな林檎](https://www.marugotoaomori.jp/wp-content/uploads/2022/03/D4_0007-750x500.jpg)
ガラスペン
・細/太 各16,500円(税込)
インク壷
・レッド 8,800円(税込)
・クリア 6,600円(税込)
販売先(問い合わせ先)
北洋硝子株式会社
住所:青森市富田4-29-13
TEL:017-782-5183
平山萬年堂
住所:弘前市土手町105
TEL:0172-32-0880
WORK&STUDY KISUKE
住所:青森市柳川1-2-3 青森駅ビル・ラビナ4F
TEL:017-718-0455
ちいさな林檎のガラスペンを使ってみたら、その滑らかな描き心地にはまりました。
インク沼にも、はまって、さあ大変
いまから発売が待ち遠しいです。
by R279
掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。