「酒と縄文とミステリーハンター」
みなさん、こんにちは。フリーランスの編集者でモノ書きのヤマザキマユコです。
おまたせしました! ミステリーハンター宮地眞理子さんと小説家畠山健二先生による第2弾のお届けです。師弟関係にあるおふたりの珍道中、今回のテーマはずばり(ついに)『酒と縄文とミステリーハンター』。どう展開してゆくのか乞うご期待です。
ミステリハンター
宮地眞理子(みやち・まりこ)
1978年神奈川生まれ。女優、タレント、エッセイスト。TBS系「世界ふしぎ発見!」のミステリーハンターとしても活躍。著書に『地球のふしぎを歩こう 行ってきました! 世界の「絶景・秘境」』(PHP文庫)がある。
小説家
畠山健二(はたけやま・けんじ)
1957年東京生まれ。大学卒業後、家業の鉄工所に勤めるかたわら笑芸作家として数々の演芸の台本執筆や演出を手がける。2012年、『スプラッシュマンション』(PHP研究所)で小説家デビュー。翌年から『本所おけら長屋』(PHP文芸文庫)をスタート。最新刊である十八巻を刊行し累計150万部を突破。月刊『旅行読売』でエッセイを連載中。また小説家・山口恵以子さんとの共著『猿と猿回し』(内外出版社)がまもなく発売!
2月公開の<珍道中その1>でもお伝えしたとおり、青森=「酒と美味」と確信している【ミステリーハンター&小説家コンビ】。その確信をさらに確固たるものにすべく、青森を代表する銘酒「陸奥八仙」「陸奥男山」を醸す八戸酒造さんへ。
八戸酒造(八戸市)
レポート=小説家・畠山健二
酒蔵探訪は旅の楽しみのひとつだ。八戸酒造では大きな杉玉がわれわれを迎えてくれる。築百年を超える建物からは歴史の重さが感じ取れるなあ。
酒蔵を案内してくれるのは専務の駒井秀介さん。ソフトな語り口調で酒が完成するまでの工程を丁寧に説明してくれる。
「それでは、試飲をしてみますか?」
宮地眞理子が「待ってました!」と口を滑らせた。
八戸酒造といえば「陸奥男山」と「陸奥八仙」だ。男山のクラシックヌーボーは甘い香りがして、フルーティーな口あたり。肴がなくても楽しめる味だ。そして超辛純米はキリッとした味。
私はこのセットを購入させていただきました。
おいおい、宮地! いつまで呑んでるんだ〜!
ミステリーハンター宮地の心の声
蔵の中に入らせていただいた瞬間に拡がるふくよかな香り! とても離れがたく、うしろ髪引かれまくり……。 東京に戻ってからしばらくして届いた、先生ご購入の八戸酒造さんの日本酒セット。その知らせを聞き、すぐさま先生の元へと駆けつけ、あの幸せな味わいをふたたび堪能。
東京でも「宮地! いつまで呑んでるんだ〜!」と言われたのは言うまでもありません。
酒あるところ、【ミステリーハンター&小説家コンビ】あり。そんな酒場好きのふたりが訪れたのが三沢。そう、三沢といえば基地。国際色豊かな町にはアメリカンなバーが多く、異国情緒を味わえると評判なのだとか。
「英語にはちょっと自信が……」と臆する気持ちもごもっとも。
でも心配無用。じつは三沢には効率よく酒場を巡るスペシャルなツアーがあるんです。その名も「Misawa Night Hoppers(三沢ナイトホッパーズ)」。“BARを跳ね回るように移動するBAR HOPPING”を一緒に回ってくれるガイド団体さんのお世話になれば、ハッピーなナイトライフを満喫できるのです
三沢ナイトホッパーズ(三沢市)
レポート=小説家・畠山健二
三沢は米軍基地の町でもある。外人さんが訪れるバーで呑んでみたいけど、ちょっと敷居が高い。そんな悩みを解決してくれるのが、CROSS×ROAD代表の坂本亘さんが率いる「Misawa Night Hoppers」だ。夜の三沢をナビゲートしてくれる水先案内人ならぬ“酒先案内人”だ。
ハシゴ酒したBARはコチラ!
ハワイアンバーBLACK SHEEP
暗くて寒い夜道から店に入ると、そこはもう南国ハワイだ。
「わーい! ワイハーだ」などいう業界用語が思わず飛び出してしまう。サーフィンの映像に囲まれて、サーファーになった気分だ。まったくできませんけど。
宮地眞理子の頼んだビールがビックウエーブ。私はロングボード。いやが上にもワイハー気分は盛り上がる。ハワイアンピザは分厚くて、食べ応えあり。
2STYLE
お次は、いかにも外人さんが好みそうなバーへ。「2STYLE」という店名の意味を店主に訊いてみた。
「外人の方には日本の酒を、日本の方にはアメリカの酒を呑んでもらいたい。ふたつのスタイルを目指している。でもね、日本人がカラオケやると、外人はみんな帰っちゃうだよね」。
カラオケ文化は受け入れられないってことか。
それにしても、店のあちこちに店主の顔写真が貼ってある。なぜだ……
CAFE NITROUS
あー、寒い。三沢の夜は凍てつくようだ。酔った頭も外に出ると一瞬にしてシャキッとなる。本日のBAR HOPPINGの最終目的「CAFE NITROUS」に。
ここでもマスターが笑顔で迎えてくれる。みんな、やさしいんだよなあ。しかし、3軒目ともなると、酒も入らなくなってくる。
そんな私たちにマスターがすすめてくれたのがパンプキンショット。
マスターがショットグラスの上に火を近づけると炎が上がる。一気に呑むと甘いシナモンの香りが口の中に広がった。
冒頭“火柱”を立てていたのが、こちらの名物「パンプキンショット」。炎を出すためスピリタスを。一気に呑み干すのが流儀です。眞理子さん、お見事! 右が今回の案内人・CROSS×ROAD代表の坂本亘さん。ナイスな夜をありがとう!
なお、現在このツアーは、「CROSS ROAD」が運営する「MISAWA CROSS GUIDE TOURS」のガイドツアーになります。ツアーに関するお問い合わせは「CROSS ROAD」代表坂本さんまでメール【sakanissin@gmail.com】でお願いします。
BAR HOPPINGの前に……ちょいと一軒! 居酒屋「いろり」へ
いきなりバー巡りもちょっと、ね。かつ、陽が暮れると身体が酒を求めるよね(笑)。ということで、居酒屋「いろり」に。
店内は青森的(笑)な装飾で彩られており、地元の人たちで賑わっている。私たちは奥の掘りごたつがある個室に陣取った。
目的は三沢の名産であるイカ。今季は不漁と聞いたが充分に旨かったけど。
白子ポンズは濃厚で美味。
ゴボウ揚げはシンプルな塩味で手が止まらなくなる。
ミステリーハンター宮地の心の声
ナイトホッパーズ! こんなに楽しいツアーがあるとは!! 三沢にいるのに扉を開ければそこは「OH!アーメリカ!」お店も雰囲気も、呑めるお酒もそれぞれ違うので、永遠とホッピングできます!
先生は時代小説を書かれてますが、意外とBAR似合いますね(笑)。
居酒屋いろりでは青森的な装飾と美味しい肴で、一軒目から呑みが止まらない。三沢の夜はこれからじゃーー! とテンション上がること請け合いです。
さてさて、美酒と美味だけが青森の魅力ではありません。2021年に「北海道・北東北の城門遺跡群」が世界文化遺産に登録されて以来、非常に注目度が高い遺跡もじっくりしっかり見学してきましたよ。
縄文がキテイル!
レポート=小説家・畠山健二
◎是川縄文館(八戸市)
開館10周年を迎えた是川縄文館。芝生の中にあるモダンなミュージアムだ。
昨今の青森を熱くしているのは縄文遺跡群。学芸員の小久保拓也さんに説明をしていただいた。
土器、装飾品など、縄文人たちの知恵や技術の高さに驚かされる。目玉は何といっても国宝の「合掌土偶」だ。手を合わせる土偶は何を祈っているのだろうか。日本最古の土面も見逃せない。レストランで縄文カレーを食べるのも一興だ。
◎小牧野遺跡(青森市)
小牧野遺跡といえば、約4000年前に構築された環状列石(ストーン・サークル)が有名だ。
もちろん、この場所も世界文化遺産に指定されている。環状列石とは直径55mの円形に石が並べられているモニュメントだ。
さっそく足を運んだのだが……残念。冬支度ということで数日前にブルーシートをかけてしまったそう。
縄文の学び舎・小牧野館には、たくさんの土器などが展示されている他、勘定列石がどのような土木工事によって造られたか、また、目的は何だったのかを垣間見ることができる。
◎三内丸山遺跡(青森市)
1992年(平成4年)からはじまった発掘調査で、約5000年前の大規模な集落跡が発見された。驚くのが復元された「大型掘立柱建物」だ。直径1mもある柱を立て、三階建てのようになっている。高さは10m以上あるだろうか。どうやって建てたのだ? 何のために……。
そんな妄想を広げることが遺跡をめぐる楽しみなのかもしれない。説明をしてくれた保存活用課長の小笠原さんが「私にもわかりません」とおっしゃると、余計に縄文人たちの深さを感じてしまうのだ。
縄文時代の遺跡を回って感じたことは、「オレって何にも知らないんだなあ」ってことだ。そして、たいして興味がなかった縄文時代がぐっと身近なものに感じられるようになった。縄文時代には争いごともなく、貧富の差も少なかったそう。みんなが平等に、そして平和に暮らしていたのだ。ゆっくりとした進歩はあったものの、そんな暮らしが1万5千年も続いたとは驚きだ。現代人は縄文人から学ぶべきことがたくさんあるような気がする。
ミステリーハンター宮地の心の声
「是川縄文館」ではユニークな土偶の数々にすっかり虜、たっぷり魅了されます。グッズが欲しくなること間違いなし。
「小牧野遺跡」の小牧野館では縄文時代の生活を細かく見ることができて、あっという間に縄文人気分。
「三内丸山遺跡」には8年ほど前にもミステリーハンターとして訪れたことがありましたが、月日が流れてもまだまだ残される謎は多く、さらに深まるばかり。ますます興味が湧きます。 戻るなら縄文時代だな〜と全員の意見が一致しました(笑)
構成と撮影=山﨑真由子
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