55年ぶりにディーゼル機関車が里がえり
そんな噂を耳にして、五戸町へ。調べてみると、驚くべきストーリーが明らかになりました。
1968年5月16日、十勝沖地震が発生。旧南部鉄道は壊滅的な被害を受け、そのまま廃線に。ディーゼル機関車はひとつ残らず解体されてしまいました…
…と、思いきや、なんと地震の前年(1967年)に、「DC351」という車両が別の会社に譲渡されていたんです! 奇跡的に生き残ったこの車両は、その後、京都府与謝野町の加悦SL広場に保存・展示されていました。
それから半世紀あまりが経過した2022年、旧南部鉄道発祥の地である五戸町に、この車両が帰ってきました!
…って、なんで? どういう経緯で?
五戸町総合政策課の手倉森さんに、お話をうかがいました。
1通の手紙が、車両の運命を変えた
― なぜディーゼル機関車が五戸町に戻ってくることに?
「きっかけは1通の手紙でした」
― 手紙?
「鉄道ファンの方からの手紙です。京都府与謝野町の加悦SL広場が閉園することになり、車両の譲渡を予定しているという内容でした」
― 譲渡先として町が手をあげたわけですね。
「車両を管理していた会社に手紙を送りました。町長直筆の手紙です」
― 町長直筆の手紙ですか! 車両の譲渡は無償で?
「そうです」
― 車両自体は無償でも、輸送費はかかりますよね。かなり高額になりそうですが…
「輸送費を確保するために、町として初めて、クラウドファンディングに挑戦しました」
― うまくいきましたか?
「多くの方々のご理解とご協力のおかげで、必要な費用を確保できました。輸送も無事に終わりました」
― 京都から五戸町までの輸送ですか…大型プロジェクト、お疲れさまでした。
「今も寄付は受け付けています。先日も地域の方が役場の窓口にいらして、現金で寄付してくださいました」
― それはありがたいですね。
「寄付金は車両の保存などに活用させていただきます」
― ところで、もしも、鉄道ファンの方からの手紙がなかったら…?
「…車両は解体されていたかもしれません」
― 町には、旧南部鉄道に乗ったことがある方もたくさんいるのでは?
「じつは私も乗ったことがあるようなんです。母からそう聞きました。1歳頃なので記憶には残っていませんが」
― 町に帰ってきたこの車両に、どんな役割を期待していますか?
「町の歴史や災害を後世に伝えていく教材としての役割はもちろんですが、それだけではなく、町の生きる歴史として、町の未来を見守りながら、大災害を逃れた幸運を地域住民にもたらしてくれるとうれしいですね」
幸運のシンボルでもある「DC351」は、ごのへ郷土館前に展示されています。見に行くと運気が上がるかも!
by エムアイ
ごのへ郷土館 | |
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場所 | 青森県五戸町大字豊間内字五ヶ久保3-1 |
TEL | 0178-62-5965 |
時間 | 10:00~17:00 |
料金 | 無料 |
Webサイト | ごのへ郷土館 |
その他 | 休館日 毎週月曜日(その日が祝日の場合はその翌日)、年末年始(12月28日~1月3日) |
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