まるごとブログでは初登場。
初めましてフードカメラマンの福田栄美子です。
コロナ以前はかなりの頻度で青森ロケにお伺いしていたのですが、コロナ禍中は年に一 度ぐらいの頻度、しかも食ではない取材だったので久しぶりの青森の美味しいものに飢 えていた所に、青森在住の親友のM子より入電。
「福ちゃん仕事で青森来る事無いの???福田ちゃんが好きそうな美味しい食材あるん だけど。」
「え?何それ???気になる!仕事じゃなくても美味しいなら食べに行くよ!」
旬の食材ミズにホヤにウニ!いやいやもちろん地酒も夏酒バージョン出ちゃってるもん。 食べないと!とわくわくしていると
「フジツボって食べた事ありますか?」とM子。
「へ?あの岩場に小さいのが無数にへばりついているやつでしょ?…うーん、ふじつぼ ってそもそもそんな可食部ありましたっけ???」
の問いに、ニヤリと笑うM子。
「食べた事無いんですね、じゃあ予約しておくから、青森来てね。」と、電話が切れた。
1か月後連れてこられたとある割烹料亭。美しい八寸に胸躍る。この時点でふじつぼの事はすっかり忘れて、脳内は「ウニ❤ウニ❤」と、なっていた。(笑)
「福ちゃん来たよ~!これこれ!」
持ってこられたフジツボは想像を超えるサイズ感と存在感に一瞬引いた。
「え?デカッ!どうやって食べるの???」
「先端の爪の部分を引っ張りだしてください。」
「え?怖っ。こう???」
少し力を入れて引っ張ると、黄色の何かがズルズルとついてきた。
「………..なんか怖い。」
「大丈夫です、もっと引っ張り出しちゃってください!」
ズルゥッ、ズルズルゥツ。
「あぁあぁあっはぁ~!めっちゃ出てきた…←全然嬉しそうじゃない」
正直ビジュアルはちょっと気持ち悪い。そして物凄い磯臭い味を彷彿とさせる風貌にお口に持っていく勇気!(それな!)な気持ちになった。
「はい、食べてください。」
「….はい。」
全然期待しないで口の中に放り込んだ。 「………………………………..!!!!!!!!!!」
M子の顔を猛スピードで振り返りつつ一言。
「味は蟹!!!」
そうなのだ、驚きのギャップがそこに待っていた。このビジュアルだけど、味は蟹なのである。脳内がバグる。
そんな私にすかさずM子がストローを差し出す。
「ナニコレ?」
「ふじつぼの出汁を飲むための道具です。」
「出汁?」覗き込むと確かに透き通った液体が入っている。
確かに直接飲むと口を切ってしまいそうなフジツボの殻には、ストロー必須といったところだ。
今度は躊躇することなく軽く吸ってみた。
「え?綺麗!!!」
なんとも綺麗な塩味の魚介のお出汁の味がするではないか!
「ちょっと待ってちょっと待って!このまま飲むなんて勿体ない!!!」
酒飲みの夢の飲み方。そう、出汁割だ!
魚介に合う青森の冷酒を注ぎ入れ、フジツボ出汁と1:1で割り、ストローで飲む。
「ああああぁっっっ!!!最高に旨いっっっ!!!」福田絶叫。
「この飲み方デフォルトにした方がいい!ってお店の人に言って!(いらぬお世話)」と、 叫びつつ、あっという間にフジツボを平らげてしまった。
昔は漁師町に住む子供には定番のおかずだったようだが、今はこのサイズのフジツボを 入手するのは困難らしく、東京の高級料亭などに出てくるようなものになっているようで、その後青森の居酒屋にいく度探しては見たが、最後まで出会う事は出来なかった。
幻のあの巨大フジツボに逢いたい❤そしてまたあの出汁割を味わいたいっ。 東京に戻っても、夜になると思い出すあの味。間違いなく過去最高の出汁割が頂ける巨 大フジツボの事を、あれから忘れられない福田です。
日本料理 百代 | |
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場所 | 青森市本町2丁目3−11 |
TEL | 017-735-2266 |
Webサイト | 日本料理 百代 |
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