青森県では現在、続々とシードルの新顔が登場し、飲食店や宿でもメニューに多数並ぶようになっています。アルコール度数が低いシードルは酒に強くない人向け、あるいは甘いデザート的存在と思っている方も多いようですが、実にもったいないお話です!
世界を広く見渡せば、フランス、スペイン、イギリスなど、シードルを料理やつまみと合わせるのはごくふつうのスタイル。さらには、青森のシードルはリンゴそのものの甘味や酸味が生きているのが特徴ですが、おそらくそれゆえに洋から和まで様々な料理を抱きとめる力を有しているのだと思います。
「弘前しいどる」をつくる弘前銘醸の加藤宏幸さんの言葉は、リンゴとシードルの実力をわかりやすく物語っていました。
「カレー、サラダ、和え物など、リンゴはスイーツだけではなくいろいろな料理に使われていますよね、そう考えれば、シードルが活躍する場面はとても多いと思います」
加藤さん曰く、青森のシードルとのペアリングでもっともわかりやすいキーワードは「甘塩っぱい」。たとえば焼肉店では、甘塩っぱいタレと肉の旨味をシードルが受けとめ、後味を爽やかにして箸が進むのを実感しました。そういえば、焼肉のタレもリンゴが使われていることが多いですよね。
「シードルはウナ重とも合いますよ」とのおすすめには正直なところ「えっ?」となりましたが、あらら、おいしいっ、素晴らしいっ! タレだけではなくウナギの濃厚な風味を、シードルがふわっと包み込むではありませんか。とりわけ相性の良さを感じたのは、厚みのある味わいのスイートタイプでした。
舞台は弘前市の「和料理 なかさん」。ナマコ酢、モズク酢といった酢の物を、シードルが優雅に煌めかせたのにもびっくり!
そんな発見があると、思わず語りたくなるのもペアリングを重ねる醍醐味。飲食店や宿でのひとときが、いつも以上に盛り上がるのは間違いありません。
私たちが感動を得たペアリングはここでご紹介しきれないほどあるので、ぜひ「青森県、お酒と食のペアリングはじめました!」にアクセスしてみてください。美味美酒をより輝かせる、宝の山が待ち受けています。
(山内プロフィール)
1966 年生まれ、青森市出身、紀行作家。これまで全都道府県、世界40 ヵ国を巡ってきた。昼は各地の史跡や物語の舞台に立つ自分に、夜は酒に酔うのが生きがい。著書に「英国ファンタジーをめぐるロンドン散歩」(小学館)「赤毛のアンの島へ」(白泉社) など。
◇店舗情報◇
店舗名 | ハチドリ酒店 |
住所 | 弘前市弘前市富田3丁目7−10 |
電話 | 0172-39-2525 |
店舗名 | 和料理なかさん |
住所 | 弘前市富田1丁目3−16 |
電話 | 0172-34-9135 |
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