みなさん、実はここ数年、発酵食の世界で注目されている「十和田ごど」はご存知ですか?
今をトキメク「十和田ごど」とは何か…
簡単に言うと、それは納豆に麹を混ぜてさらに乳酸発酵させたものです。
十和田市内でも知る人は少なく、数えるほどのお母さんたちがひっそりと家庭で受け継いできたもので、見た目は納豆と塩麹を混ぜたドロッとしたテクスチャーです。
県南地方は、やませの影響で稲作が難しく、農家は豆を主食としていたことから、各家庭では当たり前のように納豆が手づくりされていました。
納豆は発酵させるのに40℃強の温度が必要で、昔はいろりやコタツを活用して納豆菌が発酵しやすい環境を作っていたのですが、温度管理が上手くいかないと、ベチャベチャした、酸っぱいものができてしまうこともありました。
でも、「捨てるのはもったいない」し、それなら、「どうやったら食べられるか?」、「ひょっとして麹を混ぜたら美味しくなるんじゃないか?」と考えて出来上がったもののようです。
現在、十和田市では、十和田大好き❤️矢部聖子(やべしょうこ)さんが「ごど」の作り方を教え、その魅力を多くの人たちに伝えています。
彼女は、十和田発酵食文化協会の会長を務め、「ごど」や「おから味噌」を作る発酵の教室を主催するほか、県南に限らず、県内の特徴ある郷土食文化を伝え、さらに農家民泊の受け入れ等にも協力する、いつも元気で、笑顔溢れるパワフルなお母さんです。
今回は、そんな矢部さんが女将と料理を務める「おばんざいとお酒 いごこち」の「ごど」のおすすめの食べ方を紹介します。
最初は、ごどをせんべいに乗せて味わってみます。
合わせるせんべいは、南部せんべい最古と言われる「川越せんべい(おいらせ町)」の「むぎクラッカー」。小麦の甘さとコクがあり、すっきりとシンプルなクラッカーのようで、おかずを引き立てる、おつまみ素材に最適なせんべいです。
合わせるお酒は、十和田市唯一の酒蔵、鳩正宗の杜氏の名を冠した「南部杜氏 佐藤企 特別純米酒 自家栽培米仕込」です。
割ったせんべいにごどを乗せて口の中に運ぶと、程よい塩味で、コクがあり、ほのかに感じる酸味と清涼感は日本酒によく合います。
続いて、合わせたのが八戸前沖さばのしめさばです!
八戸前沖さばは八戸港で水揚げされるブランド鯖で、コクがあり、良質な脂の旨さは絶品で口どけが良いのが特徴です。
しめさばに、ごどを乗せて口の中に入れると、ごどの塩味と酸味がしめさばのさっぱりした酢の酸味と良質な脂の旨さと絶妙にシンクロして、しめさばの旨さをさらに昇華させてくれます。
その状態で、佐藤企を口に含むと、今までに味わったことのない、新しい世界のマリアージュが楽しめます!
これはもう、何杯でもイケるやつです(>_<)
ちなみに、矢部さんと一緒にこの店を切り盛りするシニアソムリエの資格を持つ久慈竜太郎さんは、「実は、ごどにはイタリアワインの白を合わせても美味しいんです」と教えてくれた。
さらに、発酵デザイナーで知られる小倉ヒラクさんがその組み合わせを味わった時、「ごど最高!ワインによく合う!」と大絶賛していたそうです(笑)
お母さんたちの“もったいない”精神から生まれた十和田ごどは、これまでひっそり受け継がれ、食卓でご飯の上に乗せて食べたり、ドレッシングがわりにサラダにかけたりして食されてきましたが、時代とともに味覚も料理も進化し、今後は、家庭だけではなく、さらに多くの飲食店で色んな料理のバリエーションが生み出されていくのではないかと感じました。
色んな可能性をもつごど。先ずは、十和田に行って、是非味わってみてください。お二人がお待ちしております!
by トリッキー
おばんざいとお酒 いごこち | |
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場所 | 十和田市東三番町2−43 |
TEL | 080-3323-2718 |
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