まるごと青森

いっとちゃんの青森酒旅 Vol.2

グルメ 特産品・お土産 観光スポット | 2023-09-04 11:00

 旨し一杯で人と酒の縁を結ぶ、酒販店のあらたな楽しみ2~弘前市編〜 

 

買うだけではなく、飲める! 酒販店であらたな楽しみが待つのんべえ最新口福事情を、前回の青森市編に続き弘前市からお届けしたい。 

最初の乾杯は、「弘前れんが倉庫美術館」から徒歩10分、日本酒やシードルをつくる弘前銘醸が営む「ハチドリ酒店」で。自社製品をはじめ国内外の美酒が揃う店内の約半分が、ゆとりある立ち飲みスペースとなっており、テラス席も設けられている。弘前大学に近いこともあり、学生や職員などふらり立ち寄る人も多いと話すのは主人の加藤宏幸さん。近隣の年配の方が散歩の途中、ゆっくり過ごすこともあるとも聞き、その姿を思いながら心が温もった。 

上/主人の加藤宏幸さんと、すっかりご機嫌の筆者。下/店長の丹藤潤也さんをはじめ、スタッフに相談しつつ進むのが満喫するコツ。写真は津軽びいどろの酒器で出される、日本酒の飲み比べセット。

酒、つまみともに商品を購入して飲み食いするのが基本的な流れだが、季節で変わるシードルや日本酒の有料試飲(30㎖135円)、飲み比べセット(400円~)、量り売りなら、少量&お手軽価格で味わえるのがうれしい。 

「初心者の方にとっては、日本酒やシードルの飲み方入門の機会になれば……。酒好きの方ならは、昼酒や夜のゼロ次会の感覚で気軽に!」と、加藤さんは話す。 

そう、昼から飲めるのですよ。その上、食器各種、簡易の蒸し器や燗つけ器、電子レンジが用意され、つまみと合わせた楽しみ方の自由度はかなり高い。市内のシードルカフェ「ポムマルシェ」とのコラボレーションによる「シードルキャンパス in ハチドリ酒店」のような、イベントが開催されることもあるという。 

上/店内の蒸し器で温めた「あおもり串酒場」の清水森ナンバ味のサバに、「弘前城しいどる無濾過スイート」を合わせて。右奥は日本酒の燗つけ器。中/棟方志功の作品が彩る、弘前銘醸の日本酒もぜひ! 下/軽やかなおいしさの「和らぎ水」(ほろ酔いをキープできる頼りになる存在です)は、日本酒の仕込み水。

シードルは現在、続々と新商品が出る百花繚乱の時代。アルコール度数が低いためジュース的に軽くとらえている方がいるかもしれないが、実は食中酒として抜群の威力を発揮する。とりわけ加藤さんが推すのは、“甘塩っぱいペアリング”。弘前銘醸「弘前城しいどる」と、まさしく甘塩っぱい味付けのサバを合わせたとろ、あら、ま、旨いっ♡ 甘味、旨味、酸味がひとつに溶けあい、絶妙な魅惑の世界を生むではないか。店内で体験するだけで終わらず、発見をそのまま家飲みにも反映できるのが、買い物ができる酒販店の魅力だろう。 

上/加藤貴大さんのおすすめで開けた、七戸・盛田庄兵衛「さく田」の夏酒。商品が並ぶ冷蔵庫を前にできる酒販店の場合、ラベルのデザインで決める楽しみもある。下/津軽びいどろの酒器は、店内でも販売。

お日様が照らす道をそのまま進んで訪れたのは、長勝寺をはじめ33の寺院が並ぶ「禅林街」入口に立つ「加藤酒店」。奥にはカウンターやテーブルが設けられたイベントスペースで、店内で購入した日本酒やワインなどをつまみとともに楽しめる。量り売りのサーバーもあり、少しだけという方にも幸ありだ。 

「辛すぎず、甘すぎず、濃すぎず。世代交代や蔵の連携など経て、青森県の酒は旨さを増していますし、一つの蔵だけでも種類が豊富。そんな状況だからこそ、的確な案内ができる情報の発信基地でありたいと考えています」と、主人の加藤貴大さんは語る。おっしゃるとおり、日本酒の世界もまた、ぐんぐん多角的に広がり続けている。 

原材料米の品種、純米、吟醸といった異なりだけではなく、酵母や貯蔵方法の違い、季節の酒などなど、ラインアップは大酒飲みの筆者も追いつけないほど多種多様。冷蔵庫には加藤さんが厳選した県外の銘酒も多数あり、どれにしようか心は揺れる。それゆえに味わいながら前に進めるのはありがたく、自分のため、はたまた大切な人のための口福を探す道が見えてくる。 

上/量り売りは瓶は空になると銘柄を変えるため、そのときどき異なる出会いが待つ。中/庭を愛でながら、ひとり静かに飲むのもまた幸せ。下/店の前にはなんと、レアなクラフトビールの自動販売機が!

「この3年間を経て、単にわいわい飲むのではなく、自分の好きなお酒を仲間とともにゆっくりという意識の変化が生じていると思います。いずれのお酒も旨いのですが、それぞれに一番おいしいと思える酒を選んでいただきたいですね。皆さんの相談にのることも多いのですが、自分にとっては嗜好を直接伺える場になっています」 

カウンターに落ち着き、加藤さんのご指南を受けて筆者がこの日選んだのは、盛田庄兵衛「さく田【月蛙】 夏かすみCrazy Summer 純米吟醸生貯」。やわらかな飲み口と軽やかな余韻が心地良く、合わせた津軽びいどろの酒器も目に涼やかで、ああ、すいすい進んでしまうよ、昼なのに。 

アート、落語、ライブ、はたまた日本酒の蔵元を囲んでなど、加藤酒店もまた、各種イベントが開催されるそうだ。ハチドリ酒店もそうだが、酒販店がコミュニケーションや集いの場になっているのが面白い。休日にふらりも愉快だが、目的をもって訪れれば世界はいっそう広がるだろう。 

飲める……だけではない。あらたな銘柄やジャンル、美味、器、あるいは人と、酒を取り巻くあれやこれやの縁をつないでくれる。それこそが、前回の青森編を含めて今回ご紹介した酒販店の最大の魅力だ。人生をより豊かにする扉が開く、ほろ酔いのひとときをぜひ体験していただきたい。 

 

<山内史子プロフィール>
1966 年生まれ、青森市出身、紀行作家。一升一斗の「いっとちゃん」と呼ばれる超のんべえ。全都道府県、世界40ヵ国を巡ってきたなか、昼は各地の史跡や物語の舞台に立つ自分に、夜は酒に酔うのが生きがい。著書に「英国ファンタジーをめぐるロンドン散歩」(小学館)「赤毛のアンの島へ」(白泉社) など。 

【写真:松隈直樹】

 

◇店舗情報◇

店舗名 ハチドリ酒店
住所 弘前市富田3丁目7ー10
電話 0172ー39ー2525
営業時間 10:00〜20:00
店舗名 加藤酒店
住所 弘前市西茂森1丁目2ー1
電話 0172ー32ー9346
営業時間 9:00〜18:30
定休日 水曜日
※但し、水曜日が祝日の場合、営業します。
※8月と12月は休まず営業します。

 

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掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

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