まるごと青森

馬だらけのパレードに花火大会!?つがる市民のカオスなまつり「馬市まつり」

イベント・まつり | 2023-09-07 11:14

馬肉文化や馬耕など、馬と関わりの深い歴史を持つ青森県。
かつて馬のせり市が有名だったつがる市には、8月末に「馬市(うまいち)まつり」というお祭りがあります。

よさこいやのど自慢大会など、各種イベントが3日間にわたって同時多発的に開催されるのですが、最高潮を迎えるのは最終日。「馬ねぶた」という、馬しばりの山車のパレードが行われるのです。
そしてなんと夜にはその馬ねぶたは…!?

◆ ◆ ◆

まるで文化祭?お昼のパレード

まずは町なかをぐるりと回る、お昼のパレードの様子をご紹介します。

小・中・高校や市役所、建設業協会、婦人会など、数々の市民の愛好会が出陣し、それぞれ踊りや仮装をしながら馬ねぶたの山車を引きます。これが山車もパフォーマンスもかなりユニーク!

一般的に、青森ねぶた祭や弘前ねぷたまつりの山車は主にプロの職人が作ります。踊りや跳ね方、掛け声は祭りごとにだいたい決まっていて、同じルールの中で勢いの良さや完成度を競います。

それが馬市まつりは違います。
元気よくよさこいを踊るチームもあればはんなりした流し踊りをするチームもあり、ジブリのコスプレをしている団体もいればネズミやアヒルの恰好でジャンボリなんとかを踊っている一行もいます!まるで文化祭を見ているかのようなパッションとバリエーションを感じます。

木造(きづくり)中学校によるよさこい
ジブリコスプレのご一行。見てるだけで楽しいです
見覚えのあるブロック、赤帽子にオーバーオール!なんと一般参加型
つがる市役所の選ばれし精鋭たちによる流し踊り

共通点は「馬」のみ

馬ねぶたも共通点は「馬」という一点のみ。大きさやテイスト、素材もバラバラです。しかも市民が自分たちの手で作ったものだそうです。
よく見ると前足は人!かなり本物の馬っぽい動きでびっくりしました
こちらは稾でできています。素朴でかわいいです
水濡れに強そうな頑丈な体。スポーツ推しですね!
目はつがる市で出土した遮光器土偶をモチーフにしているそう。山車が高速回転を披露します

そしてどの団体からも「この日を楽しみにしてきた!」という気合いとノリの良さを感じます。

入賞団体を決めるための審査員もいるのですが、とにかくチームごとの個性が豊かなので、審査するのはかなり難しいのではないでしょうか。

◆ ◆ ◆

参加型!新田火祭り

パレードが終わると、場所をイオンモールつがる柏の広大な駐車場に移し、3日間の馬市まつりのクライマックスとなる「新田火まつり」が開催されます。

パレードに出陣した馬ねぶたが一列に並んでいます

暗闇の中、巫女の神楽や土の精の舞が披露されます。昼のパレードとは打って変わって厳かな雰囲気です。

これ、実際に燃え盛る松明(たいまつ)を持って踊っているのですが、なかなかの見ごたえですよ!しかもなんと舞い手の「新田火まつり保存会」会員は市役所の職員が中心なのだそうです。

土の精がおもむろに懐からぼんやり妖しく輝くものを取り出すと、それまで固唾を飲んでいた観客が一斉に両手を挙げて「こっち!」と声を上げ始めました。何かと思ったら、光るものの正体はアイドルのコンサートなどで振られるペンライト!それを土の精が客席に向かって放り投げます。

残念ながら私のもとへは飛んできませんでしたが、このペンライトにはこんなお守りがついているそうです。きちんと御祈祷もされたものとのことですよ。

やがて、林立するすべてのトーチにうやうやしく火がつけられました。

BGMは木造地域の子守唄(ちょっと怖い)

怒涛のクライマックス!!

そしてなんとここで、お昼のパレードに使われた馬ねぶたに火が放たれます!

実は新田火まつりは、新田開発に尽くした農耕馬の霊を昇天させる鎮魂のお祭りなのです。
一列に並んだ馬ねぶたたちがさながらナイアガラの滝のように燃え盛る…はずだったのですが、実は新田火まつりの直前に突然の豪雨が降っており、火が付いたのは一部の馬ねぶたのみでした。

しかしここでまつりは終わりません。クライマックスは打ち上げ花火、しかも予想を遥かに超えたボリュームと迫力の花火大会でした!

つがる市森田地区に伝わる「弥三郎節」(それもギターアレンジしたもの)とともに次々と打ち上がる大輪の花火。本来はここに馬ねぶたの火柱が加わり、唯一無二の風景が作り出されるようです。しかしすでに花火だけで視界が覆われるほどのダイナミックさです。

チラシには「花火が打ち上げられ…」とさらっと書いてあるだけだったのでこれほどとは思っておらず、そのギャップも相まって、今まで見てきた花火大会の中でも屈指のインパクトでした。

花火の打ち上げが終わったあと、BGMの「つがる市民の歌」を聞きながら、かろうじて火が付いた一部の馬ねぶたが赤々と燃え上がる様子をぼんやりと眺めていました。

 

実は馬市まつりは1975年(昭和50年)に始まった、比較的新しいお祭りです。それなのに市民にしっかりと根付いていて、みんなこの祭をとても楽しみにしていることがひしひしと伝わってきました。

なお、こちらが過去の馬市まつりの燃え盛る馬ねぶたの様子。凛々しい顔の馬たちが炎に包まれ、まさに魂が燃え上がるような神々しさを感じます。

◆ ◆ ◆

題材は伝統的なのにノリが現代的(とはいえ手作り感満載でちょっとレトロ)で、かと思えばまるで何百年も続いているかのような厳かな空気を醸し出したりも…そう、一言でいえば「カオス」。

そんな混沌とした行事がつがる市で最大のまつりとなり、市民が楽しみ尽くすイベントになっているのは素晴らしいと感じました。熱いハートを持ったお祭り男、お祭り女の皆さんの努力が陰にあることは想像に難くありません。

というわけで津軽の隠れた熱いまつり、馬市まつりをご紹介しました!
来年はみなさんも、市民の方々に混じって観覧してみませんか?有名な大きいお祭りとはまた違った魅力を感じられるはずです。

By ぺすか

つがる市経済部商工観光課
場所つがる市木造地区、柏地区
TEL0173−42−2111
時間毎年8月下旬の連続する3日間
Webサイトつがるブランド推進会議「つがる市馬市まつり」

掲載されている内容は取材当時の情報です。メニュー、料金、営業日など変更になっている可能性がありますので、最新の情報は店舗等に直接お問合せください。

青森の観光・物産・食・特選素材など「まるごと青森」をご紹介するブログ(blog)です。
青森県で暮らす私たちだからこそ知っている情報を県内外の皆様に知っていただく記事をお届けします。

タグ別記事一覧

カフェ・レストラン米・パン・穀物津軽海峡自転車ガイドパッケージ買いクラフト風間浦鮟鱇ステンドグラス建物お酒寿司白神山地周辺津軽弁金魚イベントハンドメイド#郷土料理#青森グルメラーメン野菜居酒屋・バーカレー缶バッジおにぎり海藻唐揚げ#お家ごはん中華料理スイーツ魚介種差海岸まつりカンバッジうにぎりわかめ和栗インバウンド#料理エビチャーハンまち歩き肉・卵十和田湖アクティビティおみやげ岩のりe-sportsスタンプお家でシリーズBUNACO白神山地体験レポート伝統工芸田んぼアートマグロお土産津軽弁缶バッジ寒海苔お盆スーパー植物#だし青森県郷土料理三味線ご当地蔦沼寺山修司カフェ迎え火・送り火ハンコ担々麺#アートアウトドアツアー歴史・文化紅葉新緑八戸ブックセンターコーヒー嶽きみコケシ辛い#青森県立美術館#サウナ自然アートランチライトアップイルカプリン熱帯魚クリスマス種差#自然#八甲田山グルメ弘前公園陸奥湾おやき焼き鳥グランピング#エビの釣り堀八戸市食堂ブナコ弘前城フェリー三社大祭日記雪見温泉月見#釣り#太陽光発電ヒバ津軽八甲田尻屋埼灯台館花岸壁朝市ポップアナログレコード#手帳#夏休み鉄道青森岩木山尻屋埼宵宮横丁露天風呂青森県、色彩#桜#風車りんご三内丸山遺跡白神山地毛豆寒立馬美術館最強毛豆決定戦妖怪#食#焼きそばねぶた・ねぷた奥入瀬渓流絶景太宰治灯台青森土産きのこ鮟鱇JOMONトーク伝統芸能アウトドアツーリズム果物山菜・きのこウニ温泉ジオパーク津軽土産アニメあんこう万年筆えんぶり

月別記事一覧

月別一覧ページへ